Interview

創業45周年特別インタビュー企画

伝統芸能の灯を未来へ繋ぐ

〜受け継がれる美の系譜〜

舞いを通して人間から天女の姿へ

第16回

舞いを通して人間から天女の姿へ

2025年5月18日(月)には、国立文楽劇場で宗家藤間流いろは会が開催されます。壱ろはさんは第二部の『羽衣』に天女の役で出演されますね。『羽衣』といえば、能や歌舞伎にもある演目ですが、どのような内容になるのでしょうか?

宙乗りの代わりに昇天をどう表現するか

 今回やらせていただくのは、長唄と常磐津の掛け合いの「羽衣」になります。これは能や歌舞伎でも演じられる演目ですが、舞台となる三保の松原に天女が舞い降り、水浴びしていたところ、その羽衣を漁師が見つけて持って帰ろうとします。羽衣がないと天へ戻れないので、天女は「返してほしい」と漁師にお願いするのですが、なかなか返してもらえません。漁師が「舞いを見せてくれたら、返してあげよう」というので、天女は舞いを舞って、めでたく羽衣を返してもらいます。そして最後はその羽衣をまとい、舞いながら天上へと戻っていくというお話になります。

歌舞伎などでは、宙乗りになって本当に上へと昇っていきます。あれはとても迫力のある演出ですが、さすがに日本舞踊の場合は、そうもいきませんよね(笑)。

 はい(笑)。今回は残念ながら宙乗りはないのですが、踊りによって、徐々にと天へと昇っていく様子を表現できたらと思っています。

なるほど。そういう部分が、今回の見どころになるのでしょうか。

 そうですね。やはり、前半と後半でまったく踊りが変わるので、そういう変化を楽しんでいただけたらと思います。天女が羽衣をまとう前と後では、存在感が違うといいますか……。最初は普通の人間の女性の恰好なのですが、羽衣をまとったところから雰囲気が変わっていき、「天女」という人ではない存在になっていきます。
 いろいろな被り物ですとか、さまざまな装飾を身に着けて、見た目からも天女になっていくのですが、それに合わせて、動きも目線も人間のときとは異なっていきます。天上の存在ならではの優雅さ、神秘的な雰囲気などを表現しながら、だんだん天界へと昇っていくような感じをご覧いただけたらと思っています。また、今回はお琴の演奏が入るので、音楽もとても美しい調べになると思います。

これはもう、実際に劇場に足を運んで、壱ろはさんがどのような美しい天女様になっていくのかを観るしかありませんね。

 ありがとうございます。日々、お稽古をさせてもらいながら、最善を尽くしてまいりたいと思っています。公演は大阪の国立文楽劇場で行われますが、ぜひ、多くのみなさんにお楽しみいただけたらと思っています。

《出演のご案内》

 5月2日(金)〜27日(火)
 昼の部 11:00〜
 夜の部 16:30〜
【休演】12日(月)・22日(木)
 会場:歌舞伎座

《昼の部》
 二、歌舞伎十八番の内 勧進帳
 駿河次郎・・・鷹之資
 詳細は以下のサイトをご確認ください。
 https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/890

 5月18日(日) 11:30 開演
 会場:国立文楽劇場 (大阪)
 《第2部》常磐津『羽衣』
 天女 ・・・芳澤壱ろは
 詳細は以下のサイトをご確認ください。
 https://www.tennoujiya.com

 6月2日(月)~27日(金)
 昼の部:午前11時~
 夜の部:午後4時15分~
 ※【休演日】10日(火)・19日(木)
 会場:歌舞伎座
 《昼の部》「車引」
 松王丸・・・中村鷹之資
 詳細は公式サイトをご確認ください。
 https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/891

 6月21日(土) 11時開演/16時開演
 6月22日(日) 11時開演
 会場:京都芸術劇場  (京都芸術大学)
 「小栗判官車街道」お駒 ・・・芳澤壱ろは
 「新鷺娘」 ・・・芳澤壱ろは
 詳細は以下のサイトをご確認ください。
 https://www.tennoujiya.com

【東京公演】 2025年7月5日(土)〜27日(日)
 会場:新橋演舞場
【福岡公演】 2025年8月5日(火)〜11日(月・祝)
 会場:博多座・南座
【京都公演】 2025年8月15日(金)〜26日(火)
 会場:京都四條 南座
 同田貫 正国・・・中村鷹之資  
 詳細は公式サイトをご確認ください。
 https://kabuki-toukenranbu.jp/

2025年7月21日(月・祝)
昼の部 12:00 開演
夜の部 17:00 開演
会場:セルリアンタワー能楽堂

一、 清元 青海波
一、 清元 玉屋
一、 長唄 新鷺娘

詳細は以下サイトをご確認ください。
https://www.tennoujiya.com/information/250413

《書籍のご案内》


〜その愛につつまれて〜

芳澤 壱ろは(よしざわ いろは)

2003年8月3日東京生まれ。五代目中村富十郎の長女。幼稚園より学習院に学び、現在は学習院大学文学部日本語日本文学科在籍中。幼少より舞踊は宗家藤間流 藤間勘祖に師事。2005年6月 父、五代目富十郎の『良寛と子守』(歌舞伎座)にて里の子あい、で初お目見得。2024年9月 芳澤壱ろはを名乗り、名披露目の会「壱ろはの会」(国立能楽堂)を開催。


《受賞のお知らせ》

令和6年度 芸術選奨 舞踊部門
文部科学大臣新人賞を授賞しました

この度、昨年第九回翔之會の成果により令和6年度芸術選奨 舞踊部門 文部科学大臣新人賞を受賞致しました。
身に余るこのような賞を賜りましたのも、お導き頂きました関係者の皆様、何より厚いご後援を賜りました皆様のお陰と心より御礼を申し上げます。
この後もより一層精進を重ねて参りますので、宜しくお願い申し上げます。

中村鷹之資

直接お切符のお手配を承ります。

天王寺屋友の會
番頭:柏原 明子

電話:090-8841-1233
Mail:takaya@sound.ocn.ne.jp

続きは4月30日に配信予定