Interview

創業45周年特別インタビュー企画

伝統芸能の灯を未来へ繋ぐ

〜受け継がれる美の系譜〜

創業45周年特別インタビュー企画

第14回

21歳で芳澤流を興し、舞踊家として歩み出す

昨年9月から、家元として活動を始められていかがですか?

家元としての自覚を持って進みたい

 今はまだ不安が大きいというのが正直なところです。家元とはいえ、他の流派の方が家元を継ぐというのとは違い、何もないところからのスタートなので、今はまだやっとスタートラインが引けたようなものだと思っています。
 ただ、家元になったからには、すべてにおいてプロだということで、覚悟が変わりました。周囲からも家元として扱われるので、重たくもありますが、私なりに自覚しながらひとつひとつ取り組んでいきたいです。

まだお若いですが、このタイミングにしたのは?

 大学を卒業してから、もう少し後でいいかなと思っていましたが、予期せぬ運命の巡り合わせとでも申しましょうか、先生にも背中を押していただき多くの方の協力をいただきながら、なんとか襲名することができました。皆さまには心から感謝しています。
 そして、舞踊家となるからには父が生前に決めていた名前で活動を始めようと、「芳澤壱ろは」を襲名いたしました。

「芳澤壱ろは」の名はお父様が決められたのですね。

 はい。父は五代目中村富十郎ですが、初代芳澤あやめの三男が中村富十郎です。芳澤あやめは江戸時代の役者で、これはとても大きい名前ですが、現在名乗っている人はおりません。名乗っている人がいないのです。
 中村富十郎の系譜にとっては「芳澤あやめ」というのは大切な名前です。それに、やわらかい感じがするひらがなの名前がいいということで、「いろは」となりましたが、役者で名乗っていた方がおり、父の本名が「一」と書いて「はじめ」なので、字画なども考え「一」を「壱」に替えて「壱ろは」にしたそうです。この名前からも父がずって見守ってくれているような感じがいたします。

壱ろはさんの踊りの特徴は?

 小さい時から宗家藤間流のお稽古に伺っていました。特徴としては、振りと振りの間の流れがとても滑らかに進むところでしょうか。歌舞伎の振付師でもいらっしゃるので手数が少なく、芝居心を加えられるような振付であり、ですから役柄や芝居への理解力が必要とされる難しさがあります。
 稽古を重ねる間にも「ここはこうした方がいいよ」とご指導を受けながら、その背景を理解した上で、自分のものにしていかなければならないと感じます。やはり私は独特のキレとテンポがある父の踊りが一番好きなので、まずはそれを目標にしています。まだまだ精進しなければなりませんが、「これが芳澤壱ろはの踊り」と自信が持てるまで、完全に納得のできる踊りができるよう稽古に取り組んでいくつもりです。

《出演のご案内》

 4月20日(日)
 会場:歌舞伎座 3階花篭ホール
 開始:15:00(開場14:30) 終了予定16:30
 エッセイスト関容子氏が今、会いたい人!
 伝統文化を支える一流ゲストとともに自在に語り尽くす珠玉のトークショーです。
 お申し込み(天王寺屋友の會)
 https://www.tennoujiya.com/contact/

 5月2日(金)〜27日(火)
 昼の部 11:00〜
 夜の部 16:30〜
【休演】12日(月)・22日(木)
 会場:歌舞伎座

《昼の部》
 二、歌舞伎十八番の内 勧進帳
 駿河次郎・・・鷹之資
 詳細は以下のサイトをご確認ください。
 https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/890

 5月18日(日) 11:30 開演
 会場:国立文楽劇  (大阪)
 《第2部》常磐津『羽衣』
 天女 ・・・芳澤壱ろは
 詳細は以下のサイトをご確認ください。
 https://www.tennoujiya.com

 6月2日(月) ~27日(金)
 ※【休演日】10日(火)・19日(木)
 会場:歌舞伎座
 《昼の部》「車引」
 松王丸・・・中村鷹之資
 詳細は公式サイトをご確認ください。
 https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/891

 6月21日(土) 11時開演/16時開演
 6月22日(日) 11時開演
 会場:京都芸術劇場  (京都芸術大学)
 「小栗判官車街道」お駒 ・・・芳澤壱ろは
 「新鷺娘」 ・・・芳澤壱ろは
 詳細は以下のサイトをご確認ください。
 https://www.tennoujiya.com

【東京公演】 2025年7月
 会場:新橋演舞場
【福岡・京都公演】 2025年8月
 会場:博多座・南座
 同田貫 正国・・・中村鷹之資  
 詳細は公式サイトをご確認ください。
 https://kabuki-toukenranbu.jp/

《書籍のご案内》


〜その愛につつまれて〜

芳澤 壱ろは(よしざわ いろは)

2003年8月3日東京生まれ。五代目中村富十郎の長女。幼稚園より学習院に学び、現在は学習院大学文学部日本語日本文学科4年在籍中。幼少より舞踊は宗家藤間 藤間勘祖に師事。2005年6月 父、五代目富十郎の『良寛と子守』(歌舞伎座)にて里の子あい、で初お目見得。2024年9月 芳澤壱ろはを名乗り、名披露目の会「壱ろはの会」(国立能楽堂)を開催。


《受賞のお知らせ》

令和6年度 芸術選奨 舞踊部門
文部科学大臣新人賞を授賞しました

この度、昨年第九回翔之會の成果により令和6年度芸術選奨 舞踊部門 文部科学大臣新人賞を受賞致しました。
身に余るこのような賞を賜りましたのも、お導き頂きました関係者の皆様、何より厚いご後援を賜りました皆様のお陰と心より御礼を申し上げます。
この後もより一層精進を重ねて参りますので、宜しくお願い申し上げます。

中村鷹之資

直接お切符のお手配を承ります。

天王寺屋友の會
番頭:柏原 明子

電話:090-8841-1233
Mail:takaya@sound.ocn.ne.jp

続きは4月16日に配信予定