Interview

創業45周年特別インタビュー企画

伝統芸能の灯を未来へ繋ぐ

〜受け継がれる美の系譜〜

創業45周年特別インタビュー企画

 2024年に21歳の若さで現役大学生ながら、日本舞踊の芳澤流を創設した芳澤壱ろはさん。父は人間国宝として歌舞伎界を牽引した故中村富十郎さん、兄は若手歌舞伎役者としてめざましい活躍を見せている中村鷹之資さんと、伝統芸能一家に生まれました。物心つく前から芸の世界に親しみ、幼い頃より宗家藤間流に学び、学業と両立させながら芳澤流の踊りを確立すべく奮闘されています。日本舞踊の奥深さを探究しながら、新たな表現に挑戦しているその姿は、たおやかな中にも凜とした強さを感じます。心の動きを美しく表現する日本舞踊の所作は、健康的な美しさを目指す私たちにとっても多くの学びがあります。今回のインタビューでは、日本舞踊に対する思いとこれからの目標についてお話を伺いました。

第11回

感動する心を教えてくれた父 お目見得は2歳になる前に

小さいころは何をして遊んでいましたか?

ディズニー好きは父親譲り

 父の影響もあって、ディズニー作品が大好きでした。家ではディズニーの映画をよく見ていました。プリンセスものはあまり見なくて、『ターザン』が好きでした。あとは『ライオンキング』や『ヘラクレス』などは、セリフを全部覚えるくらいまで繰り返し見ていました。
 兄は父と将棋を指したり、電車ごっこをしたりしていましたが、私はよく父の膝の上に乗って、一緒にディズニー映画を見たり、お話をしたりしました。二人でかくれんぼもよくしていました。

お父様は壱ろはさんにどのように接していましたか?

 一緒にいられたのは7歳まででしたが、改めて振り返ると、子ども扱いされるというより、大人として接してくれていたと感じます。子どもだからといって、物事を分かりやすく言い換えたりするのではなく、言うべきことはちゃんと言ってくれました。その時は分からなかったけれど、大きくなってからは、こういうことを伝えてくれていたんだなと気づくことがたくさんあります。
 また、先生や先輩など周りの方が「お父さんは、こうだったんだよ」、「こんなことがあってね」と教えてくださることが多くて、いかにも父らしいエピソードや、私の知らない父の一面を知ることがあります。

印象に残っている言葉などはありますか?

 「こうしなさい」ということは何もなかったのですが、常に「感動する心を持ちなさい」と言っていました。たとえば、一緒においしいものを食べたとき、きれいな景色を見たとき、心が動くようにしておきなさいと。
 良いものに触れることで、自然と本物とそうでないものの違いが分かるようになる、という考えだったようです。そのため、素晴らしいとされるもの、一流と言われるものをたくさん見せてくれました。

お父様は家族で出かけられるのもお好きだったそうですね。

 時間があれば、一緒に出かけていました。旅行が好きで、特にディズニーリゾートやハワイには何度も行きました。父との思い出といえば、ディズニーリゾートかハワイ、あとは自宅と楽屋なんですよ。
 父はディズニーが大好きで、フロリダのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートに行く計画もしていました。父はそれまでに二度ほど行ったことがあったので、次は家族みんなで行きたかったのでしょう。もし行くとしたら、季節のいい5月頃に仕事を休んで、最低10日間は滞在しないと回りきれないから…。家族での旅行計画を、いつも真面目に考えていましたね。

初舞台の記憶はありますか?

 ほとんど覚えていません。(笑)初お目見得は2歳になる前で、『良寛と子守』という作品ですが、父が良寛さまの役で、私は良寛さまを囲む子どもの一人でした。最初は泣きじゃくっていたらしいのですが、落ち着いてきてからは自由奔放に動き回っていたそうです。
 初めのうちは何が何だかわからず、ちょっと出たらすぐ舞台袖に駆け込んでしまったようですが、慣れてくると、一緒に出演している子役の真似をしたり、父のいるところに行ってみたりしていました。
 ただひとつ、はっきり覚えているのは、山台に乗った清元さん(舞台上の台に座る楽器演奏者)が舞台の下手のほうに正座しているのですが、子どもの目線のちょうど目の前に、その足の裏があって、本番中にもかかわらずくすぐってしまったんです。足袋も履かれていたので、気づかなかったかなと思うんですけど…。(笑)
 そんな感じで、あまり窮屈な思いをせず、自然と舞台に親しんでいきました。

《出演のご案内》

【東京公演】 3月1日(土) ~23日(日)
 会場:THE ATER MILANO-Za
 玄武 ・・・中村鷹之資 
 詳細は公式サイトをご確認ください。
 https://japantheater.com/

《観劇レポート》

SEIMEI、行ってきました!

 4月20日(日)
 会場:歌舞伎座 3階花篭ホール
 開始:15:00(開場14:30) 終了予定16:30
 エッセイスト関容子氏が今、会いたい人!
 伝統文化を支える一流ゲストとともに自在に語り尽くす珠玉のトークショーです。
 お申し込み(天王寺屋友の會)
 https://www.tennoujiya.com/contact/

 5月18日(日) 11:30 開演
 会場:国立文楽劇場 (大阪)
 《第2部》常磐津『羽衣』
 天女 ・・・芳澤壱ろは
 詳細は以下のサイトをご確認ください。
 https://www.tennoujiya.com

 6月2日(月) ~27日(金)
 ※【休演日】10日(火)・19日(木)
 会場:歌舞伎座
 《昼の部》「車引」
 松王丸・・・中村鷹之資
 詳細は公式サイトをご確認ください。
 https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/891

 6月21日(土) 11時開演/16時開演
 6月22日(日) 11時開演
 会場:京都芸術劇場 (京都芸術大学)
 「小栗判官車街道」お駒 ・・・芳澤壱ろは
 「新鷺娘」 ・・・芳澤壱ろは
 詳細は以下のサイトをご確認ください。
 https://www.tennoujiya.com

【東京公演】 2025年7月
 会場:新橋演舞場
【福岡・京都公演】 2025年8月
 会場:博多座・南座
 同田貫 正国・・・中村鷹之資  
 詳細は公式サイトをご確認ください。
 https://kabuki-toukenranbu.jp/

《書籍のご案内》


〜その愛につつまれて〜

芳澤 壱ろは(よしざわ いろは)

2003年8月3日東京生まれ。五代目中村富十郎の長女。幼稚園より学習院に学び、現在は学習院大学文学部日本語日本文学科4年在籍中。幼少より舞踊は宗家藤間 藤間勘祖に師事。2005年6月 父、五代目富十郎の『良寛と子守』(歌舞伎座)にて里の子あい、で初お目見得。2024年9月 芳澤壱ろはを名乗り、名披露目の会「壱ろはの会」(国立能楽堂)を開催。


《受賞のお知らせ》

令和6年度 芸術選奨 舞踊部門
文部科学大臣新人賞を授賞しました

この度、昨年第九回翔之會の成果により令和6年度芸術選奨 舞踊部門 文部科学大臣新人賞を受賞致しました。
身に余るこのような賞を賜りましたのも、お導き頂きました関係者の皆様、何より厚いご後援を賜りました皆様のお陰と心より御礼を申し上げます。
この後もより一層精進を重ねて参りますので、宜しくお願い申し上げます。

中村鷹之資

直接お切符のお手配を承ります。

天王寺屋友の會
番頭:柏原 明子

電話:090-8841-1233
Mail:takaya@sound.ocn.ne.jp

続きは3月26日に配信予定